2011年7月5日火曜日

ポジティブ意識とネガティブ意識(3)

「ポジティブ意識とネガティブ意識」という場合のポジティブとネガティブという言葉の意味と、「ポジティブ思考とネガティブ思考」という場合のポジティブとネガティブという言葉の意味とが、違った意味合いを持って使われています。
同じポジティブとネガティブという言葉を使っているために、ポジティブ意識を理解するうえで、言葉の意味を混乱させる元となっています。このような意識状態を表す良い言葉が、なかなか見つからなかった、ということもあるのかもしれませんが。

ここでいう、ポジティブ意識とポジティブ思考、ネガティブ意識とネガティブ思考は、同じものではありません。言葉は似ていますが、両者は違うこと意味して使用しています。
ポジティブ意識は、他者との一体感を感じられ、他者への愛が持て、利他的行為が行える意識状態です。
ネガティブ意識は、他者とは隔絶した存在として自分をみている、何より自分を愛する利己的な意識状態です。
普通、ポジティブと言えば、どうしてもよく知られているポジティブ思考(ポジティブ・シンキング)のことを思い浮かべますが、ポジティブ意識というのは、ポジティブな思考(前向きに積極的に考えている思考)をしている意識のことではありません。


ここでポジティブとネガティブという言葉の使い方を、もう一度簡単にまとめておきましょう。

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「ポジティブ思考とネガティブ思考」での言葉の意味
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・ポジティブ思考(積極的な思考)
いつでもできると前向きに積極的(肯定的)な方向に考えるポジティブ
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・ネガティブ思考(消極的な思考)
いつでもできないと後向きに消極的(否定的)な方向に考えるネガティブ
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「ポジティブ思考とネガティブ思考」という言葉で使う意味は、顕在意識(表面意識)的な意味での考える傾向を表している(ポジティブ思考なども、さらに深いレベルの潜在意識などにもある程度は浸透させていくことはできる)。

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「ポジティブ意識とネガティブ意識」での言葉の意味
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・ポジティブ意識(利他的な他者愛の意識)
すべてと統合されたことからくる他者愛(一体感、安心感、平等感等)からくるポジティブ
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・ネガティブ意識(利己的な自己愛の意識)
すべてから分離されたことからくる自己愛(孤立感、不安感、優越感等)からくるネガティブ
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「ポジティブ意識とネガティブ意識」で使う意味は、普通の顕在意識(表面意識)というよりも、深い深層意識の話といえる。潜在意識、さらにその奥の無意識にまで入り込むようなレベルでの、無意識的な行動を規定している意識のことである。
普段使うポジティブとかネガティブという言葉とはかなり違った意味であり、日常生活では、あまり考えることのない意味での言葉の使い方である。


ポジティブ意識とネガティブ意識のどちら側にも、ポジティブ思考(積極的な思考)とネガティブ思考(消極的な思考)をもつ者は存在します。ポジティブ意識とネガティブ意識のどちらの側でも、ネガティブ思考(消極的な思考)の者より、ポジティブ思考(積極的な思考)の者は社会的に成功しやすいのです。
ネガティブな意識状態でも、ポジティブな思考(積極的な思考)によって、ネガティブ意識の持つ野望を達成していくことができます。

ポジティブ意識を持つ人がポジティブな存在と呼ばれます。ポジティブ意識では、自分の目標を達成するための考えや行動が、他者に迷惑を及ぼしている可能性や、他者にとって害悪を与えている可能性について、自分の行動が適切であるか否かを気にかけます。自分の考えや行動が、他者によくない影響を与える場合にはそれはするべきでない、というのがポジティブ意識での考え方です。
大いなるものと一体であるというポジティブな意識では、ネガティブな思考が次第に薄れ、次第にポジティブな思考が主流となってくるということはあります。大いなるものと統一しているというポジティブな意識状態がずっと続けば、大いなるものに対する信頼が増し、たとえ心の中にネガティブな思考があったとしても、それは次第に減少していくという傾向はあるでしょう。

ネガティブ意識を持つ人がネガティブな存在と呼ばれます。ネガティブ意識では、自分の目標を達成するための考えや行動が、他者に迷惑を及ぼしている可能性や、他者にとって害悪を与えている可能性につては、ほとんど考えません。自分の考えや行動は、優越した自分がすることなのだから、他者にとってどうあろうとそんなものは関係ない、そうして当たり前のことで、するのが当然の権利である、というのがネガティブ意識での考え方です。
このように考えると、何となくでもポジティブ意識とネガティブ意識の考え方の違いが分ります。


しかしながら、ネガティブ意識の中でも、前向きで積極的なポジティブ思考(積極的な思考)を持つことはできるのです。ネガティブ意識の中で、前向きで積極的なポジティブ思考(積極的な思考)を持てば、自分の野望を達成していくことができます。
ネガティブ意識の人は、自分のことをネガティブな意識状態(自己中心的な意識)だと考えることはありません。ネガティブ思考を持ったときには、後向きな消極的なネガティブ思考を感じるでしょうが、これはネガティブ意識とは違います。
ネガティブ意識の中で、ポジティブ思考(積極的な思考)を持っているときは、「おれはやってやるぞ」というような強い前向きなポジティブ思考を意識しています。ネガティブ意識の者は、自分の持っている意識が、自己中心的であり、利己的なものであることに気づくこともないでしょう。
他者とは違う優越した特別な存在である自分のために、他者を利用することも含め、あらゆることをしていきます。自分の成功のためには、他者を利用することも、支配することも、操作することも、当然のことと思っています。「特別な私のために、使ってやっている」というくらいの感覚になってきます。


例えば独裁者などには、ネガティブ意識を持つ者は多くいます。政治的な独裁者にとって、気に入らない者や邪魔な者は粛清し、その存在自体を消してしまえます。独裁者などは国民の生殺与奪の権力を持っており、敵対者や邪魔者を粛清してしまうことも多いのです。
このような独裁者でも、意識の上では悪いことをしているとは考えません。自分のしていること(反対者を処刑するようなこと)は、国家の平和のために、国家の統一のためにしていることであり、国民のために良かれと思ってしていると考えています。

粛清などしないような選挙で大統領となったような者の中にも、ネガティブ意識を持った者はいるのです。こういう者はネガティブ意識であろうとも、行動においてネガティブ思考は持たず、前向きなポジティブ思考(積極的な思考)の塊であり、社会的には大成功者であると見られています。
こういうネガティブ意識を持ちながら権力を握った者にも、物事を推進していくというポジティブ思考(積極的な思考)は持っていますし、自分自身や家族への愛も持っています。

選挙で大統領となるような人は、その人の本質的な意識は、ネガティブ意識であろうと、普通の意味でのポジティブ思考を強く持っているからこそ、選挙で大統領にまでなれたといえます。
このような人物は、行動でみせるポジティブ思考(積極的な思考)のようなものとは違う、外見からは伺い知れない、本質的なネガティブな意識(利己的な分離意識)で心の中が占められていることもあります。


彼らはネガティブ意識でありながら、行動においてネガティブ思考(消極的な思考)は持っていないのです。ネガティブ意識とは、ネガティブ思考(消極的な思考)のような、消極的で落ち込んだような意識状態の人のことではないのです。彼の意識は、ポジティブ思考(積極的な思考)のような、積極的で前向きな状態かもしれません。
このようなネガティブ意識の人たちは、他者のことを顧みないということだけで、実際的な行動ではポジティブ思考で利己的な成功を目指しています。

これはマフィアのような裏社会を思い浮かべると、何となく分るのではないかと思います。マフィアで成功した首領(ドン、組長)は、ポジティブ思考を持ち、自分の組織をどんどんと大きくしていくためには、いろいろな知恵をだして、あらゆる手段を使います。また首領(ドン、組長)は、自分の家族(娘や息子)には、大変な思いやりと愛を示すかも知れません。自分の娘のためには、あらゆる犠牲を払うかもしれません。しかし自分の組織にとっての邪魔者は、波止場の暗闇の中で、どこかの港湾に重りを付けて、沈めてしまう行動も取ります。邪魔者を消しても、何も気にかけることはありません。自分とは関係のない全くの他者ですから、その邪魔者に家族がいようと、どんな事情があろうと、そんなことを気にすることはありません。


このように、ネガティブな意識であろうと、ポジティブな思考(積極的な思考)を持って、自分の組織を大きくしていくことができ、自分自身や自分の家族に向けるような愛は持てるのです。この愛は自分とって大切でない者には、決して向けられることはありません。誰に対しても等しく向けられるような愛ではなく、自分にとって大切な者にしか向けられない利己的な愛といえます。

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